差動増幅器回路とは?
1、差動増幅器の使い方
差動増幅器の動作として主に3種類の使い方があります。
1、アンプなどの増幅器の入力段
入力信号の差分を増幅する
2、コンパレータなどの比較器の入力段
入力信号を比較する
3、各種演算回路(電流合成など)
差動電圧を電流に変換し各種演算を行う
2、基本回路構成
(a) 基本回路構成
(b) 入力電圧対コレクタ電流特性
Fig.1 基本差動増幅回路と切り替わり特性
(R1=R2=20kΩ、Itail=10μA時)
Fig.1(a)は差動増幅器の基本回路構成です。差動増幅器は2つの入力電圧の差分を増幅し、2つの入力に共通な電圧を取り除く性質があります。この性質を用いて、2つの入力信号の差を増幅したり、2つの信号をそれぞれ比較したりする用途に使われます。
この回路を増幅器として動作させたい場合の注意点は、すべてのトランジスタを飽和させないということです。まず、電源電圧の1/2の電圧をVcomとおき、Vin2に与えます。その状態で、Vin1をそのVcom近辺の電圧を与えたときのQ1、Q2のコレクタ電流の関係をFig.1の(b)に示します。ここでVin1とVin2の電圧差を-ΔVinとおきます。Vin1とVin2の状態により3つの場合の動作を見てみましょう。
Vin1がVin2より大きい時
上記例ではΔVinが約-100mV以上ではほぼ、i1に電流が流れる
Vin1がVin2より小さい時
上記例ではΔVinが約+100mV以上ではほぼ、i2に電流が流れる
約-100mVから+100mV付近
ΔVinに応じてリニアに変化し、ΔVin=0でi1=i2となる
これが基本的な動作です。この性質を用いることにより、二つの信号の差を増幅させたり、比較することができます。
3、差動増幅器回路のまとめと注意点
1、飽和させない
差動増幅器を用いる場合、必ずすべてのトランジスタを
飽和させない領域で使用する
2、差分を増幅できる
差動増幅器は2つの入力信号の差分であるΔVinにより
Q1、Q2のコレクタ電流が変化しそのコレクタ電流の差分を
利用することにより比較動作や差分増幅出来る
3、微少信号を入力する
差動増幅器の2つの入力信号の差分であるΔVinの切り替わり
範囲は大きくてもせいぜい100mV程度と小さい範囲で
切り替わり動作を行うのでVin1とVin2の差分信号を
取り出したい場合、ΔVin=±100mV以下の微少信号範囲で行う。
4、入力範囲を拡大できる
差動増幅器のΔVinの切り替わり範囲を大きくしたい場合、
エミッタ側に抵抗REを挿入するとほぼItai×REの電圧分
入力範囲が拡大する。(下図Fig.2参照)ただし、
この場合Q1、Q2のGMが減少し結果としてゲインが低下する。
(ΔVinの切り替わり範囲とゲインはトレードオフとなる。)
Fig.2 REの入った差動増幅回路
引き続き、差動増幅回路の小信号解析を勉強する
その他バイポーラ回路を勉強してみる
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