トランジスタ回路の飽和について、sat、sub漏れ、サブ漏れ、縦構造、ゲインが下がる、など

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更新日 2017-05-21 | 作成日 2008-01-12

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トランジスタの飽和(sat)とは?


トランジスタ回路の勉強を始めた人にとって分かりにくいという声をよく聞くのがトランジスタの飽和ではないでしょうか?飽和する、satするとみんな口をそろえて言いますが、イマイチ、イメージが掴みづらく、飽和すると、どうなるのか?と疑問に思う人も多いのではないでしょうか?ここでは飽和について分かりやすく簡単に説明していきましょう。

1、飽和について

エミッタ接地基本回路

(a)  エミッタ接地基本回路
Fig.1 エミッタ接地回路とDC特性




エミッタ接地DCスイープSim結果
 (b) 入力電圧対出力電圧

飽和という言葉の意味は、ある条件下である量が増加していき、それ以上増加しなくなる状態という意味です。トランジスタ回路で用いる飽和の意味も同様の意味合いです。

例えばFig.1(b)の特性を見てみましょう。この図の中の飽和領域では出力はほぼ一定の値になっており、それ以上ほとんど変化していません。確かに飽和の意味通りです。

では次に、飽和している状態について説明してみます。次の3つが主な特徴ではないでしょうか?。

1、コレクタ電圧<ベース電圧になっている。
2、電流の関係 Ic=βIbが成り立たたず、増幅器として使えない。
3、ベース電流の一部がSubに流れる(2の原因はこれです)。

2、トランジスタの飽和領域における特徴

では次に、飽和領域における振る舞いを順に考えていきましょう。

Vce-Ic特性
Fig.2 Vce-Ic特性(エミッタ接地回路で測定)

Fig.2にトランジスタのVce-Ic特性を示します。
ここで赤まるの領域が飽和領域です。

例えば、この飽和領域の中のA点の電位を考えてみましょう。
A点のVce電圧で考えた場合、コレクタ電圧は約0.2V程度です。しかも、飽和領域内における他のポイントもほぼ同じです。つまり、どのポイントも約0.3V以下になっています。実際はベース電位は0.6V以上印加して測定しているので、飽和している状態では コレクタ電位<ベース電位になっていることが分かります。これが先程の1、の特徴の説明です。

3、飽和すると何が起こるか!?

次にこの状態になった時に何が起こるかを考えてみましょう。
トランジスタの縦構造
Fig.3 一般的なNPNトランジスタの
縦構造と飽和時の振る舞い

例えばトランジスタが飽和しており各端子の電圧が以下の場合を考えてみましょう。

ベース端子 ⇒ 1V
コレクタ端子 ⇒ 0.2V
エミッタ端子 ⇒ 0V

上記Fig.3から分かるように、意図しない寄生素子(PNP)が出来てしまいます。この場合、ベースに電圧を印加し、ベース電流を流してもsubに電流が流れてしまうことになります。つまり、ベース電流の一部はsub漏れ(サブ漏れ)電流となりコレクタには伝わりません。せっかくベースに大量のベース電流を供給しているのにSubに流れる、つまり、トランジスタでベース端子とコレクタ端子から考えた時のhFE(β)は下がることになります。

従って、Ic=hFE×Ib(Ic=β×Ib)は成り立たなくなります。
これが先程の2、3、の説明です。

この内容は↓などの書籍でも詳しく書かれています。

アナログICの機能回路設計入門

4、飽和した時の注意点

飽和した場合、Ic=hFE×Ib(Ic=β×Ib)が成り立たないということは、増幅器として使う場合、ベース電流に応じてコレクタ電流が増えない、つまり、増幅器として成り立ちにくいということです。従って、アンプ回路や各種増幅器として用いる場合は絶対に飽和させて使ってはいけません。特に気をつけなければいけないのは、入力信号が過大になった時や、その他、意図しない場合にアンプ回路や増幅器が飽和(sat)してしまい、ゲインが極端に下がってしまわないか?をきちんと検証するということです。

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