エミッタ接地回路の基礎
1、エミッタ接地回路のバイアスとは?
エミッタ接地回路を増幅器として使用する場合、ベース端子をバイアスする必要があります。バイアスとは、回路を動く状態にすることです。エミッタ接地回路の場合、トランジスタがONできる電圧(約0.6V以上)でベース端子をバイアスします。このバイアスにより、バイアス設定したVbe電圧に応じたエミッタ電流が流れ、コレクタ電流が流れます。このときコレクタ側には通常負荷が付くので、この負荷とバイアスにより流れるコレクタ電流で出力電圧DC電圧が決定されます。出力電圧はこの設定されたDCポイントを中心に信号がスイングします。エミッタ接地回路のベース電圧をバイアスする方法で一番簡単な方法は抵抗分割でベース電圧を設定する方法です。簡単な例を上げながら、基本エミッタ接地回路の各ポイントにおけるDCバイアス電圧を求めてみましょう。
2、各ノードの電圧/電流計算法
Fig.1 基本エミッタ接地回路
<回路条件> 電源電圧=5V
Z1=Z2=10kΩ Z3=25kΩ Z4=18kΩ
まずは各部品の意味について解説します。
Z1とZ2⇒ベース電圧用抵抗分割
Z3⇒負荷抵抗
Z4⇒エミッタ電流決定用抵抗
ではFig.1の回路の各電圧を計算していきましょう。
1、ベースバイアス電圧の決定
VINはZ1とZ2の抵抗分割なので
VIN=電源電圧×Z2/(Z1+Z2)=5v÷10kΩ/(10kΩ+10kΩ) =2.5
2、エミッタ電流の決定
エミッタ電圧VeはVINから
0.7V下がった電圧なので
Ve=VIN-Vbe=2.5V-0.7V=1.8V
エミッタ電流はVeをZ4で
割った値なので
Ie≒Ic=Ve/Z4=1.8V÷18kΩ=100μA
3、出力電圧の決定
出力電圧VOUTは電源電圧からコレクタ電流とZ3の電圧降下を引いたものなので
Vout=電源電圧 - (Z3×Ic)
=5 - (25kΩ×100μA)=2.5V
以上の計算により各ポイントにおけるDCバイアス電圧及び電流が計算出来ました。ここで最も重要なのはVbe=0.7Vとおくことにより、オームの法則を使って簡単に各電圧や電流が計算出来るということです。
引き続き、エミッタ接地の増幅を勉強する
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