エミッタ接地回路の基本構成
このサイトはバイポーラトランジスタ回路を勉強するサイトです。BJT、NPN、PNPトランジスタの簡単な説明、及び、バイアス、基本回路構成から勉強をはじめます。トランジスタとはいったいどういう素子なのでしょうか?トランジスタ回路を理解するために、簡単なイメージを掴むことからはじめましょう。このページからスタートし、11の章に分割しているのですべて読まれることをオススメします。
1、トランジスタとは?
(A) NPN (B)PNP
Fig.1 基本トランジスタ素子
トランジスタはベース・コレクタ・エミッタと呼ばれる3端子で構成されます。トランジスタはFig.1のような2種類のタイプがあり、それぞれNPNトラジスタとPNPトランジスタです。この2つの素子を組み合わせることにより回路を構成していきます。
基本的な動作を簡単にまとめましょう。
1、NPNトランジスタの場合、ベース端子からエミッタ端子へ電流を流せば、hFE倍の電流がコレクタ端子からエミッタ端子に流れる素子です。このときの各電流の関係式はIb×hFE=Ic、またIe=Ic+Icとなります。(ただし、PNPトランジスタの場合は逆で、ベース端子から電流を流出させれば、エミッタ端子からコレクタ端子にhFE倍の電流が流れます)
2、ベース電流を流した場合、ベース・エミッタ間電圧はVbe=VT×ln(Ic/nIs)で計算できます(Ic≒Ieとする)。この式より、コレクタ電流が2倍になればVbe電圧は約18mV変化します。つまり、コレクタ電流が2倍になってもVbe電圧は18mVしか変化しないため、このVbe電圧を約0.6Vで近似し、計算すると便利です。またVbe電圧を1VFや1Vbeと呼ぶことが多いです。
3、ベース電流Ibを制御することにより、hFE倍のコレクタ電流が得られるので、コレクタ電流値を使い、例えば抵抗で電圧に変換すれば増幅器が出来ます。このようにトランジスタは増幅器に用いたり、スイッチとして使うことができます。
具体的な回路のイメージを掴みたい人は他の解説ページへ↓
エミッタ接地回路を勉強してみる
エミッタフォロア回路を勉強してみる
ベース接地回路を勉強してみる
トランジスタのスイッチ回路を勉強してみる
トランジスタの計算用パラメータが知りたい
順番に勉強したい人はこのまま読み進めてください。
2、基本回路構成は?
トランジスタは3端子なので、3種類の接地方式が実現できます。Fig.2に最も簡単な3種類の接地形式を示します。この3つの形式がトランジスタ回路構成の基本です。ちなみにFig.2中のZは一般的な負荷を示しています。このZは抵抗でも、回路でも構いません。
Fig.2 基本トランジスタ3接地回路(NPNトランジスタを使用した例)
左から順にエミッタ接地回路、コレクタ接地回路(エミッタフォロア回路)、ベース接地回路です。
トランジスタのそれぞれの端子がどこに接地されているかにより、どの接地回路になるかが決まります。この3つの接地回路はトランジスタ回路の超基本回路なので必ず覚えてください。詳しくは別の章で解説していますので、順に読み進めてください。
3、接地とは?
接地とは、ある基準電位にその回路の基準をおくことです。電子回路ではある基準電圧を元に回路を構成します。通常はその基準をGNDにおき、各種回路を構成します。その場合、GNDはその回路システムにおける最低電位になります。ただし、接地は電源電圧などAC的に変化しない電圧であればAC接地とみなすことも出来ます。もちろん、マイナス電源を使用し、一番低いマイナスに基準を置くことも出来ますし、0Vに基準を置くこともできます。
以上の理由から、トランジスタの接地形式は、どこの端子が接地されているかにより見分けることが出来ます。
例えば、エミッタ接地の場合、エミッタ端子がGNDに接続されています。コレクタ接地はコレクタ端子が電源にAC接地されています。また、ベース接地はベース端子にバイアスされた電圧にAC接地されているというイメージです。
上記3つの接地形式はそれぞれ固有の特徴があり、それを組み合わせることにより様々な電子回路が構成していきますので、ここではまず3つの形式があるということを覚えておいてください。
4、トランジスタ関連の書籍
新入社員や回路をはじめてトランジスタ回路を勉強する方に
オススメの書籍を紹介しましょう。
僕が回路を勉強し始めたころ、役に立った本や
分かりやすかった本です。今でもお気に入りの書籍です。
初心者オススメ回路書籍はこちらへ
日本書から洋書まで、僕が今まで読んだ、お気に入りの本「代表的36冊」
←パソコンで使える回路シミュレータの解説書です。
次はエミッタ接地のDC特性を勉強しましょう!!
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